固定費を上げろ!? 事業は固定費で決まる

固定費と聞くと、多くの経営者の方は、できるだけ安く抑えたい、真っ先に削るべきコストというイメージを持っているのではないでしょうか。

しかし、実は固定費というものは、非常に奥が深い存在です。極端に言えば、事業の成否は固定費で決まると言っても過言ではありません。

固定費の本当の役割を知ると、これからの経営目標や計画がより立てやすくなります。

今回は、知っているようで意外と知らない固定費の本質について、分かりやすくお伝えします。

目次

そもそも固定費ってなんだろう?

固定費とは、文字通り毎月決まって出ていくお金のこと。売上が上がっても下がっても、変わらずにかかる費用のことです。

これに対して、売上と一緒に動くのが変動費です。

この変動費の定義について、多くの書籍やブログなどで「売上に比例して増える」「売上に連動する」と説明されていますが、この表現は間違いです。

変動費は売上ではなく売れた数に連動する

最もわかりやすい例が、商品の仕入代金です。

たとえば、売上が1,000円のときの仕入が700円だったとします。

売上が1.5倍の1,500円になれば、仕入も1,050円に増える…一見、正しいように思えます。

「変動費は売上に連動する」という誤解を解説する図。左側の表(売上1,000、仕入700)から、右側の表(売上1,500、仕入1,050)へ。売上が1.5倍になると仕入も1.5倍になるという、一見正しそうに見える誤ったシミュレーションの数値例。

しかし、値上げによって売上が1,000円から1,500円になったケースではどうでしょうか。

販売する数量は変わっていないので、仕入代金は増えません。

値上げによる売上増加と仕入(変動費)の関係を示す図。左の表(売上1,000/仕入700)に対し、右の表は値上げで売上が1,500に増えても、販売数量が変わらないため仕入は700のまま据え置かれている様子。変動費が売上ではなく数量に連動することを証明する数値例。

つまり、変動費が連動しているのは「売上」ではなく「販売数量」なのです。

売上を分解すると、以下のようになります。

売上 = 単価 × 数量

このうち「数量」の部分に連動しているのが変動費です。

変動費の代表例としては、仕入・材料費・販売数に比例して増える外注費などが挙げられます。

なお、外注であっても毎月固定で支払うケースは固定費として扱います。

迷ったときの見分け方

残業代や工場の電気代など、忙しい時期は少し増えるから変動費かな?と迷うものもあるかもしれません。

ですが、これらも基本的には固定費に入れてしまってOKです。

また、業界によっては個別で考える必要があります。

例えば運送業なら、走った距離に応じてかかるガソリン代は変動費にしたほうが、実態が分かりやすくなります。

余談ですが、一つ注意したいのが借金の返済です。

「借金の返済も経費になる」と思っている経営者の方がたまにいますが、経費にはなりません

1,000万円借りたときに1,000万円儲かった!とならないのと同じで、返すときも費用にはならないのです。

利益から税金を引いて、最後に残ったお金から返すもの、という点はしっかり押さえておきましょう。

固定費が経営の目標を決めてくれる

なぜ固定費が経営を決めると言えるのか。

それは、固定費こそが最低限、これだけは稼がないと会社が立ち行かなくなるラインを教えてくれるからです。

必要な粗利を計算してみる

経営でもっとも大切なのは、売上ではなく粗利(売上総利益)です。

会社を動かすには、最低でも固定費の分は稼がなくてはいけません。

さらに利益もしっかり出したいなら、目標はこうなります。

稼ぐべき粗利 = 固定費 + 出したい利益

例えば、固定費が毎月1,000万円かかっていて、利益を100万円残したいなら、粗利で1,100万円を稼ぐ必要がある、ということです。

粗利、固定費、利益の構造図。左側に粗利1,100万円、右側に固定費1,000万円と利益100万円のブロックが積み重なる。粗利が固定費と利益を合わせたものであることを示す数値例。

経営計画はここから始まる

粗利1,100万円をどうやって作るか?を考えること、それ自体が経営計画になります。

  • 新しい取引先を増やすのか
  • 今のお客さんからもっと注文をもらうのか
  • 値上げをして利益率を上げるのか
  • それとも、値下げをして数をたくさん売るのか

こうした判断を積み重ねていくことが、経営計画を作るということです。

計画に基づいて日々の営業活動を行い、目標粗利を達成すれば、固定費を払ったうえで利益が残ります。

固定費を上げて成長を加速させる

固定費は下げるのが当たり前と思われがちですが、あえて固定費を増やすことで成長を加速させる方法もあります。

価値ある投資としての固定費

もちろん無駄遣いはダメですが、もっと粗利を稼ぐための投資なら、固定費を増やすのは良い決断になります。

  • 人件費: 優秀な人材を雇って、組織の力を高める
  • 広告費: 認知度を高めて、粗利を増やす
  • 家賃: 広い店舗を借りることで、事業規模を広げる

これらは固定費を上げますが、それ以上に粗利を増やせるなら、経営としては大成功です。

もちろん、無駄な固定費はどんどん削るべきです。

しかし「固定費は下げるもの」と教科書どおりに考えるのではなく、戦略的に固定費を上げるという選択肢も持っておくことが大切です。

まとめ:固定費の本質を理解し戦略的に活用しよう

今回は、小さな会社が業績を上げるための、固定費の考え方についてお届けしました。

「固定費+目標利益」から必要な粗利を逆算し、それをどう稼ぐかという視点で経営の道筋を立ててみてください。

固定費は、怖がって削るばかりではなく、戦略的に使いこなす意識を持つことも大切です。

中でも私がいちばんお勧めしている固定費の使い方は、広告です。

広告をうまく活用すれば、ビジネスの状況を一気に変える大きな力になります。

広告費の具体的な使い方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

[集客が安定する!黒字経営者のための広告費の使い方]

まずは自社の固定費をもう一度確認して、今月はいくら粗利が必要かな?と逆算してみることから始めてみませんか。


さらに詳しい情報や個別の無料相談をご希望の方は、メルマガでも情報を発信しています。
興味のある方は、ぜひ登録してみてください。

小さな会社の経営改善のノウハウを知りたい方へ 無料でメルマガを読む
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次