【業種別】値上げで売上と利益がどれくらいアップするか?

「値上げをすると客離れが起きるのではないか」という不安から、価格改定を躊躇してしまう経営者は少なくありません。

しかし、値上げが利益にもたらすインパクトを正しく理解すれば、その重要性が見えてきます。

今回は、中小企業の統計データに基づいた業種別のシミュレーションを通じて、わずかな値上げがどれほど劇的に業績を改善させるのかを具体的に解説します。

目次

値上げが利益に直結する理由

まず、値上げの威力を簡単におさらいしましょう。値上げをすると、なぜ一瞬で利益が増えるのでしょうか。

その理由はシンプルです。

「値上げした分は、そのまますべて利益になるから」です。

通常、売上が増えても仕入原価などのコストが同時に増えることが多いですが、既存の商品の価格だけを上げる場合、原価は変わりません。

そのため、増えた売上の100%がそのまま利益に上乗せされます。

例えば、20%の値上げをしたケースを考えてみましょう。ここで注目したいのは、粗利率の変化です。

以前ご紹介した20%値上げの事例では、値上げ率は20%ですが、粗利率は29%増加しています。

20%の値上げで売上が1,200に増え、原価据え置きのまま粗利が700から900へ拡大する比較表

これが、粗利が小さいビジネスほど、少しの値上げで利益が大きく改善すると言われる理由です。

特に、もともとの粗利が小さいビジネスほど、少しの値上げで粗利が大きく増えるという特徴があります。

値上げの威力については、下記記事で詳しく紹介しています。

【客単価アップ】値上げの威力・・お客は減ってもOK!?

【業種別】値上げシミュレーション

令和4年の中小企業統計データに基づき、5%から10%の値上げを行った際に、利益がどのように変化するかを見ていきましょう。

建設業:利益が2倍、3倍に跳ね上がる

一人親方から10億円規模の会社までを含む、中小建設業の平均的な数字(指数)で見ると、驚くべき結果が出ます。

建設業の収支構造:売上266、原価202、固定費51で利益13(粗利率24%)の状態を示す図解
値上げ前
建設業の5%値上げシミュレーション:利益が13から26へ倍増し、粗利率が28%に向上した収支図解
5%の値上げ
建設業の10%値上げ:利益が初期の13から40へ約3倍に増加し、粗利率が31%に達した収支の図解
10%の値上げ

値上げしても原価や固定費(家賃や人件費など)は変わらないため、このように利益だけが積み上がります。

利益を2倍、3倍にするために売上を2倍、3倍にする必要はなく、わずか5〜10%の価格改定で実現できるのです。

製造業・運輸業:薄利な業界ほど効果は絶大

薄利な業界ほど、わずかな値上げが利益を数倍に跳ね上げる効果をもたらします。

製造業

建設業と同様に、値上げで利益が増加します。

製造業の値上げシミュレーション:5%・10%の値上げで利益が22から最大79へ大幅に増加する比較表

運輸業

統計上、売上が5億円あっても利益が400万円しか残らないような厳しい状況の会社も見受けられます。

こうした利益率の低い状態では、少しの値上げが利益を数倍に引き上げる決定打となります。

運輸業の値上げシミュレーション:わずか4の利益が、10%の値上げで57へと増えることを示す比較表

卸売業・小売業:価格競争の中でも挑戦する価値

他店との比較や価格競争が厳しい業界ですが、わずかな価格改定が経営を変える鍵となります。

卸売業

いわゆる「薄利多売」が特徴です。

粗利率が15%程度と低く、価格に厳しい業界ですが、その分、値上げに成功した際のインパクトは非常に大きくなります。

卸売業の値上げシミュレーション:10%の値上げで利益が22から120へ約5倍に増加する比較表

小売業

粗利30%前後が目安となる業界です。仕入れたものを売るビジネスモデルのため他店と比較されやすいですが、値上げを実現するための工夫が業績を左右します。

小売業の値上げシミュレーション:利益4の状態から、10%の値上げで利益35へと約9倍に改善する比較表

飲食・宿泊業:マイナスからプラスへの転換

令和4年のデータでは利益がマイナス(赤字)となっているケースもあり、依然として厳しい状況にあります。

元の単価が低く粗利が大きいため、増幅率そのものは他業種ほど目立ちません。

しかし、値上げによって数百万円、一千万円単位で利益が改善される可能性は十分にあり、挑戦する価値はあると言えます。

飲食・宿泊業の値上げシミュレーション:利益マイナス5の赤字から、値上げにより黒字化する収支の比較表

値上げは利益を数倍にする最短ルート

さて、ここまで色々な業種の値上げシミュレーションを見てきました。

5%、10%の値上げで、営業利益が数倍、場合によっては10倍以上になるケースもありました。

これでも値上げに躊躇するでしょうか?5%、10%の値上げは絶対にできないでしょうか?

もし5%、10%が無理なら3%でも1%でも良いので、やってみてください。

すぐに業績が改善する可能性は十分にあるということです。

今すぐ値上げを検討すべき会社の特徴

シミュレーションを見て「値上げの重要性はわかったが、やはり踏み切れない」という経営者の方もいるでしょう。

しかし、以下の条件に当てはまる場合は、即座に検討を始めるべきです。

「今、非常に忙しい」状況にある

店舗が常に満席であったり、とにかくお客さまが絶えない状況にあるなら、値上げをする絶好のタイミングです。

値上げをすれば、一定数の客離れが起きるリスクは確かにあります。

しかし、「忙しすぎる」状態であれば、多少客数が減っても大きな問題にはなりません。

値上げをしても得られるメリットの方が大きいからです。

値上げのメリット1:時間にゆとりができる

客数が適正化されることで、現場のオペレーションや経営者自身の時間に余裕が生まれます。

値上げのメリット2:利益はしっかり確保できる

客数が減ったとしても、単価が上がっているため、利益総額は維持、あるいは大幅に増加するかもしれません。

「利益は減らさず、現場にゆとりを作る」。これが値上げの大きなメリットです。

値上げによる影響が心配なら、何%の値上げでどれくらいお客が減ったら影響が出るのかをシミュレーションしてみましょう。

特に、安さをウリにしているお店の場合、予想以上に値上げの影響が出る恐れもあるからです。

まとめ:まずは「1%」からでも始めてみる

ここまで見てきた通り、5%や10%の値上げは、営業利益を数倍、時には10倍以上にまで引き上げる力を持っています。

もちろん、安易な値上げは禁物です。自社の顧客層やサービス内容を考慮し、事前にしっかりシミュレーションを行うことが大切です。

もし「5%や10%は勇気が出ない」と感じるなら、まずは1%や3%からでも構いません。

わずかな価格改定であっても、実行に移すことで業績が目に見えて改善する可能性は十分にあります。

利益を2倍にするために、今の2倍働く必要はありません。まずは、自社の数字を当てはめて計算することから始めてみてください。


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