論理的に考えることのメリット
2013.05.13 更新
論理的に考えるべき、ということを何度も書いていますが、論理的に考えることのメリットの一つに、
「騙される可能性が低くなる」
というものがあります。
世の中、実際にはおかしな話であっても、もっともらしいことを言われてなんとなく信じてしまう、ということはあると思います。
例えば、少し前に「牛乳有害説」というものがありました。
牛乳は人体に有害である、だから飲むな、というものです。
根拠として、
「北欧では日本人の数倍牛乳を飲むが、骨折率は日本人の数倍である。だから牛乳を飲むと骨が脆くなる」
とか、
「牛乳は牛の赤ちゃんが飲むものであり、人間の大人が飲むのは不自然である。だから身体に悪い」
とか、そんな感じだったと思います。
これを聞いて、
「なるほど、牛乳は身体に悪いのか」
と思ってしまった方、ちょっと待ってください。
こういう時は、立ち止まって考えてみましょう。
本当にその意見は正しいの?なぜそうなるのか?と。
まず骨折に関してですが、牛乳と骨折の因果関係が不明です。
比較するなら、牛乳の摂取量以外同じ条件にしなければ意味がありません。
例えば同じ日本人で、同じ年齢・性別・同じライフスタイルの人を2つのグループに分けて、その上で牛乳の摂取量だけ変えた、というならば牛乳が人体に与える影響が分かるかもしれません。
北欧人と日本人を比べて骨折が多いからといって、牛乳の影響と結びつけるのはわけがわかりません。
単に道路が凍ってるから滑って転ぶんじゃないの、という話です。
次に、
「牛乳は牛の赤ちゃんが飲むもので、大人の人間が飲むのは不自然」
という考え方について。
つまりこの考え方は、
自然なもの=身体に良い
不自然なもの=身体に悪い
というものですね。
そういう風潮があるのは確かですし、あなたもなんとなくそう思うでしょう。
では、自然なものが身体に良いという根拠はなんですか?
そもそも「自然」の定義はなんでしょうね。
自然が良くて不自然が悪いならば、
・自然に生えている毒キノコ→身体に良い
・人工的な病院の薬→身体に悪い
ということになってしまいます。
そんなことは無いでしょう。
あるいは、
「動物は服を着ないのが自然である。だから、人間も服を着るのはおかしい」
とはならないでしょう。
と、このように、ある意見が出たら、鵜呑みにするのではなく、その意見に根拠はあるの?なぜそうなんだろう?と考えてみましょう。
ちなみに、牛乳が本当に人体に有害かどうか、についてはここでは関係がありません。
もしかしたら有害なのかもしれませんが、それは牛乳に含まれる成分の問題です。
北欧と日本の骨折率の比較や、自然・不自然という考え方から導き出すものではありません。
なお、別に私は西洋の科学が万能で、自然的なものを否定する、というわけではありません。
しかし、
「自然のものしか受け入れない」
という考えで西洋医学を否定する両親が、子供が病気になったにもかかわらず自然療法のようなものしかさせず、その結果子供が死んでしまった、ということも起きています。
ロジカルに考えることができないと、このような悲劇が起きることもありますので、あなたも物事を立ち止まって考える癖をつけてみましょう。
合言葉は
「なんで?」
です。