人手不足の昨今、求人や採用は中小企業にとって非常に重要な問題です。
「せっかく仕事はあるのに、人がいないから仕事が取れず、結局売上が上がらない」というケースも珍しくありません。
つまり、求人や採用は売上アップや利益アップの施策と同じか、場合によってはそれ以上に力を注ぐべきテーマなのです。
それにもかかわらず、採用や求人にしっかり取り組んでいる中小零細企業はほとんどないというのが、多くの現場を見てきた私の実感です。
この記事では、以下の3つのポイントについて解説します。
- 小さな会社の求人対策は不十分である現状
- 採用活動はマーケティングと同じだという考え方
- 求人に必要な情報
まだ競合他社が力を入れていない領域だからこそ、しっかり取り組めば採用において差別化ができます。ぜひ最後までお読みください。
小さな会社の求人対策は不十分
残念ながら、ほとんどの会社は求人にしっかり取り組んでいません。
- ハローワークや求人誌、せいぜいIndeedに求人情報を出すだけ
- 内容も事務的な情報にとどまる
これでは求人の成果は期待できませんし、仮に応募が来たとしても、他社で採用に至らなかった人材や、自社にマッチしない人材である可能性が高いと言えます。
冒頭でもお伝えしたとおり、「仕事はあっても人がいなくて受注できない」のであれば、求人・採用こそが最優先で取り組むべき経営課題です。
したがって、そこに全力を尽くすべきです。
採用活動はマーケティングと同じ
では、具体的にどうすればいいのか。まず押さえておきたいのが、「採用活動はマーケティングと同じ」という考え方です。
マーケティングとは、簡単に言えばお客さんを集める活動です。
求職者を集めるのも、お客さんを集めるのも、本質的にはまったく同じこと。
商品やサービスを買いたい人を集めるか、働きたい人を集めるか、その違いだけなのです。
最重要は「誰に」を明確にすること
マーケティングと同じということは、「誰に」「何を」「どうやって」を考える必要があります。
この中で一番の核となるのが「誰に」、つまりお客さんにあたる部分です。採用・求人でいえば、求職者のことです。
まずは、以下のような点を把握する必要があります。
- どんな会社で働きたいか
- どんな待遇を希望しているか
- 将来的にどうなりたいか
そのうえで「うちの会社はそれを提供できますよ」と言えれば、応募につながる確率は大きく高まります。
逆に、この部分を曖昧にしたまま求人広告などを作っても、求職者に響かない独りよがりなものになってしまいます。
まずは「誰に」の部分を徹底的に追求することを意識してください。
「何を」提供できるかを整理する
次に「何を」です。これは、求職者に対して自社が何を提供できるかという話です。
具体的には次のようなものが挙げられます。
| 項目 | 自社が提供できるもの |
|---|---|
| 給料などの待遇 | 働く環境を左右するベースとなる要素 |
| 成長できる環境 | スキルアップや自己実現につながる機会 |
| 良質な人間関係 | 働きやすさに直結する職場の雰囲気 |
ポイントは、もちろん給料は高いに越したことはありませんが、給料がすべてではないということです。
給料はそこそこでも、働きやすさや成長機会を求める人もいます。
逆に多少厳しい環境でもしっかり働いて稼ぎたい、という人もいるかもしれません。
要は、求職者の求めるものと、自社が提供するものにズレがないかということです。
労働環境が厳しい会社が、それを隠してホワイト企業のように見せて採用しても、ミスマッチですぐに辞めたり、トラブルに発展したりするのは目に見えています。
自社の実態を偽らずにありのままを伝えるという姿勢は、ぶれないようにしてください。
なお、「給料が低くても採用するには」というテーマについては、下記記事でも詳しくお伝えしています。
中小企業の求人戦略|給料が低くても「欲しい人材」を採用する秘訣
求人に必要な情報
ここからは、求人に必要な情報について具体的にお伝えします。これはマーケティングの「誰に」「何を」「どうやって」の「どうやって」にあたる部分です。
「どうやって」には、次の2つのポイントがあります。
- どの媒体に出すか
- 何を載せるか
「どの媒体に出すか」については、流行り廃りや業界の特性もあるためここでは扱いません。今回は「何を載せるか」に絞ってお伝えします。
マーケティングでいえば、ホームページやチラシに何を載せるかという話になりますが、ここで大切なのは求職者目線、つまり、「求職者が何を知りたいか?」という視点です。
商品を売るときに、細かいスペックを延々と書き連ねてもお客さんには響きません。
それと同じで、いかに相手が知りたい情報を載せるかがポイントです。
幸い、求人の場合は求職者が知りたい情報はおおむね共通しているため、これから紹介する内容を載せていけば大きく外すことはないでしょう。
経営者からのメッセージ
まずは経営者のメッセージです。可能であれば動画で発信するのがおすすめです。
経営者がどんな人で、どんな想いで経営をしているかは、求職者にとって非常に重要な情報です。
ただし、求職者に響く魅力的なメッセージであることが前提です。印象の悪い動画では逆効果になるため注意してください。
事業内容と社会貢献
次に、会社全体の事業内容です。
- どのような仕事をしているのか
- 社会にどう貢献しているのか
「当社に入れば、社会貢献ができ、やりがいのある仕事ができる」と伝えられれば求職者の心に響く求人になります。
将来のビジョン
将来のビジョンも欠かせません。
「今はこういう状況だが、これから当社はこういう姿になることを目指している」という将来像を示すことで、それに魅力を感じてくれる人が現れます。
入社後の具体的な仕事内容
入社後にどのような仕事をするのか、できるだけ具体的に示すことも大切です。
一日の仕事のスケジュール例を見せると、求職者は働くイメージをつかみやすくなります。
職場の雰囲気・現場社員の声
職場の雰囲気や、実際に働いている人のメッセージも欠かせない要素です。
求職者にとって、どんな人が働いているかは非常に大きな不安要素であり関心事です。
それを事前に伝えられると、応募のハードルが下がります。
理想は、従業員に動画へ出演してもらい、働いているシーンやインタビューなどを載せることです。
キャリアイメージと教育制度
次に押さえておきたいのが、キャリアイメージです。
- この会社に入って、自分はどう成長できるのか
- 昇格や昇給はどうなっているのか
- 将来的にどのような仕事ができるようになるのか
こうしたキャリアルートが見えると、求職者にとって魅力のある職場として映ります。
ここまでしっかり考えている中小企業は少ないため、大きな差別化ポイントになりえます。
関連して、教育制度なども伝えられれば、入社後の不安解消につながるでしょう。
募集要項
もちろん、給与や休日、その他福利厚生などの募集要項も載せます。ただ、ここは事務的な内容になるため、特別なことはありません。
ほとんどの会社が「募集要項だけ」
ほとんどの会社は、この募集要項の事務的な内容くらいしか載せていないのが実情です。
募集要項だけを載せている会社と、ここまで紹介してきた内容をしっかり載せてある会社と、どちらが求職者から選ばれると思いますか?当然、後者です。
そして、ここまで求人情報を充実させるのは大変な作業ですが、この内容を見て応募してくれる人は、あなたの会社にマッチした人材である確率が高くなります。
つまり、良い人材が来てくれる可能性も高まるということです。
注意点:自社を良く見せすぎない
ただし、注意してほしいのは「応募が欲しいからといって、自社を良く見せすぎない」という点です。
これもマーケティングと同じですが、広告に惹かれて買ってみたら中身が全然違ったとなれば、当然クレームになります。
入社したものの想像と全く違った、という事態になればお互いに不幸ですので、「魅力的に見せること」と「期待値を高めすぎないこと」のバランスには十分注意しましょう。
まとめ:自社の魅力を磨くことが採用成功の本質
最後にお伝えしたいのは、これもマーケティングと同じですが、結局は「自社が本来持つ魅力」以上のものを伝えることはできないということです。
ですから、良い人材を採用したければ、自社の魅力そのものを磨く必要があります。
採用や求人のときだけではなく、魅力的な職場を普段から作っていくこと。
これも経営者の大事な仕事だということを、ぜひ覚えておいてください。

