リスケ後、返済できるようになるのか?債務償還年数という考え方
2013.10.22 更新
債務償還年数という言葉をご存知でしょうか。
要するに、「今の債務を何年で完済できるか?」の目安となる数字です。
リスケジュール(以下リスケ)をするにあたっても、やみくもに
「今、返済が厳しいからストップしてください」
と言うだけでは説得力がありません。
「今、このような状況です。リスケをしてもらって、その間に経営をこのように立て直します。
その結果、年に〇〇円返済できますので、〇年で完済できるようになります」
というプランを示せば、金融機関にも納得してもらえるでしょう。
この時に重要なのが、「債務償還年数」という数字です。
◆債務償還年数とは
ざっくり説明すると、
「現在の債務÷毎年返済できる金額」
ということです。
例えば、現在の債務が1000万円、毎年返済できる金額が100万円だとすると、
1000÷100=10
つまり債務償還年数は10年ですので、10年で返済できるだろう、というわけです。
では、それぞれの数字を細かく見ていきましょう。
◆現在の債務の額
これは、貸借対照表から「有利子負債」を拾って合計します。
有利子負債=短期借入金+長期借入金+社債+割引手形
上記は全て「返済しなければならない借入」の性質をもったものです。
なので、名目は短期借入金であっても、例えば社長からの運転資金の借入のように、返済する必要性が低いものに関してはここに含めるべきではありません。
次に、この有利子負債から、「運転資金」を引きます。
運転資金とは、会社が事業を継続していくにあたり必ず必要になる資金です。
この資金を返済しても、事業を続けるにはまた借入が必要になります。
なので、「債務償還年数」の計算においては、この分の資金は返済する必要はないものと考え、有利子負債から除外します。
運転資金の計算方法は結構ややこしいのでまた別の機会に詳しくお伝えしますが、式だけお伝えすると以下のとおりです。
運転資金= 売掛金+受取手形+棚卸資産-買掛金-支払手形
こうして求めた運転資金を有利子負債から引きます。
有利子負債 - 運転資金
これが、あなたが返済すべき債務の額、ということです。
◆返済できる額
返済すべき額が分かったので、次に毎年返済できる金額を求めましょう。
これには、理論上のキャッシュフローを求めます。
キャッシュフロー= 税引後当期利益+減価償却費
税引後当期利益は、利益の中から税金を納め、最後に残る金額のことです。
利益が出たら税金を納めなくてはならないので、これは税金を引くのは分かりますね。
減価償却費を足すのはなぜでしょうか?
減価償却費は、「費用」として利益から引かれていますね。
その分、利益が減っています。
しかし減価償却費は、実際にはキャッシュとしてお金は出ていっていません。
なので、利益からは引かれているものの、その分のキャッシュは手元にあり、返済に使えるお金なのです。
だから、最終的な利益に減価償却費を足し戻す、ということです。
これで、理論上のキャッシュフロー=返済できる額がわかりました。
では、債務償還年数を計算してみましょう。
債務償還年数=有利子負債÷キャッシュフロー
となります。
◆適正な債務償還年数は
では、債務償還年数は何年が適正なのでしょうか。
銀行が融資の判断をするにあたり、「10年」がひとつの目安です。
これを超えると、返済能力が要注意と見られ、融資に慎重になることがあります。
もちろんこの数字だけで決まるわけではありませんが、重要な指針ではあります。
リスケの際、
「この会社は立て直して完済できるようになるのか?」
の目安にもなります。
一度あなたの会社の債務償還年数も、計算してみてはいかがでしょうか。
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