資金繰りが苦しい時の支払の順序
2012.12.02 更新
銀行からの借り入れの返済、従業員の給料、仕入代金の支払い、社会保険料、税金・・
今月末の支払がいよいよできなそうだ、銀行からの追加の融資も受けられない。 という場合、まず「払えないものは払えない」と腹をくくることが大事です。
そうすると、全ては払えないが、払える範囲で払いましょう、ということになります。支払に優先順位を付けます。
順番は、次のとおりです。
① 従業員の給与
② 仕入先、外注への支払
③ その他経費の支払
④ 税金、社会保険料
⑤ 金融機関への返済
① 従業員の給与
まず第一に、従業員への給与を支払わなければなりません。
事業を継続していくには従業員の力が必要ですし、また、従業員の生活は守らなければなりません。
給料が支払われなければ、従業員の生活を直撃します。
従業員へ給与を払えないというのならば、人を雇う資格はありません。
② 仕入先、外注への支払
次に、仕入や外注の支払です。
この支払をしないと、事業に必要な材料等が調達できなくなります。
今後事業を継続していくためにも、仕入先、外注先へはしっかり支払をしなければなりません。
ただ、考え方として仕入、外注の中でも優先順位はあります。
事業継続に不可欠であれば極力優先すべきですし、仮に今後取引ができなくても影響がないところであれば、多少待ってもらうことも必要でしょう。
ケースバイケースで対応してください。
③ その他の経費の支払
ここでいう経費とは、事業継続に必要なものです。
工場の家賃や電気代を滞納していると立ち退きや電気のストップという事態になり、事業継続に支障を来します。
そのような支払は、優先しなければなりません。そうでない経費は、支払の優先順位は下がります。
④ 税金、社会保険料
税金や社会保険料は、滞納して放置していると差押えという事態になる恐れがあります。
銀行からの借入や仕入代金などは、払えない場合も裁判所の手続きを経て差し押さえとなりますが、税金や社会保険料はそのような手続き無しで差押えしてきます。
したがって、本来税金や社会保険料は優先して支払うべきものです。
ただ、税金や社会保険料は税務署や社会保険事務所と交渉して分割払いが可能です。
しっかり事情を説明し支払計画を相談すれば、有無を言わさず差押えしてくる、ということはまずありません。
したがって、交渉可能という意味で順位は4番目としてあります。
⑤ 金融機関への返済
金融機関への返済は、優先順位では最後です。
ということは、資金繰りに窮した場合、まず最初にストップすることを考えるべきは、金融機関への返済ということになります。
もちろん何も言わずに勝手にストップするのではなく(それはただの延滞です)、金融機関と交渉し、合意の上で返済をストップしてもらいます。これをリスケジュールといいます。
資金繰りに窮している経営者は、たいていこの逆の順番で支払をしようとします。 それでは駄目です。
このテーマは続きます。