安売りの利益への影響・・粗利を確保するためには?
2013.04.07 更新
「忙しい割に儲からない」とお悩みの経営者は多いでしょう。
それはなぜでしょうか?
固定費がかかり過ぎている。
銀行への返済額が多い。
原因は色々あるとは思います。
しかし、今回考えていただきたいのは、
「売値は安過ぎないか?」
ということです。
デフレの世の中なので、周りにつられ自分も安売りしてしまっているという経営者は多いと思います。
今回は、安売りが経営に与える影響についてお伝えします。
数字が多くでてきますので大変かと思いますが、頑張って理解してください。
◆値下げによる粗利への影響
例で考えてみましょう。
単価が100円の商品があります。
原価が40円だとしましょう。
商品一つの粗利は60円ですね。
これが、通常100個売れるとします。
そうすると、
売上は100円×100個=10,000円です。
粗利は、60円×100個=6,000円です。
これが通常の価格だとします。
これを、20%値引きセールをして販売したとします。
そうすると商品の単価は80円です。
売値を下げても、原価は変わらないので40円です。
そうすると商品一つの粗利は40円ですね。
これがもし、販売数が変わらず100個だったとすると、
売上は80円×100個=8,000円です。
粗利は40円×100個=4,000円です。
このケースでは、20%値引きをすると、
売上は10,000円から8,000円へ20%減
粗利は6,000円から4,000円へ34%減ってしまいました。
売値を20%下げるだけで、このケースでは粗利が34%も減ってしまいました。
◆値下げをした場合、いくつ売れば良いのか?
では、値下げをして以前と同じ利益を確保しようとすると、どれだけ売れば良いのでしょうか?
※商売で重要なのは売上ではなく利益なので、今回は粗利で考えます。
つまり、単価を100円から80円に値下げしつつ、粗利は従来と同じ6,000円確保する場合に必要な販売個数はいくつでしょう?
ということです。
80円の場合の粗利は40円だったので、次の式になります。
40円(一個あたり粗利) × X個 = 6,000円(総粗利)
X = 150
150個販売する必要があるということです。
つまり、100円から80円に20%値下げをしておきながら、
値下げ前と同じ粗利を確保しようと思うと、
もともと100個売っていたものを150個売らないといけない、ということです。
今時、20%OFFくらいで1.5倍も売れるようになるでしょうか?
◆売れないほうがマシだった?
しかも問題なのは、仮に1.5倍売れて以前と同じ粗利になったとしても、
それ以外の経費が多くかかる、ということです。
儲けとは、まず売値から原価を引いて粗利を出し、そこから人件費や家賃、光熱費などの経費を引くことで計算できます。
問題なのは、1.5倍も売るとなると、当然この経費が多くかかっている、ということです。
例えば、1.5倍販売するためには多くのスタッフが必要でしょう。
広告も出しているかもしれません。
在庫保管コストも増えているでしょうし、その他消耗品も多く使うでしょう。
しかもそれだけ多く売れるとなると大忙しですね。
スタッフも疲弊するでしょうし、お客への対応も悪くなりがちでしょう。
結局、大騒ぎしてなんとか以前と同じ粗利を確保しても、
経費は多くかかるから儲けは減る、スタッフは疲弊する、お客の満足度も下がる、
と悪いことばかりです。
売れないと不安で安売りしたくなる気持ちは良くわかりますが、何も考えずに安売りしていると、
「それなら売れないほうがマシだった」
という結果にもなりかねません。
安売りをする前に、しっかりその影響、インパクトを理解してから行いましょう。
値段をいくら下げるの?
そうすると粗利はいくらになるの?
値下げした分、今までよりどれくらい多く売る必要があるの?
そのために必要な人件費その他コストはどれくらい増えるの?
これらのシミュレーションを行って、
「それでも安売りしたほうが利益が出る」
というならば、やっても良いかもしれません。
ただ、ずっと安売りをしていると、安さを求めるお客が増えることも覚えておきましょう。
安さをアピールしていると、いざ高い物を売って利益を出そうとしても、全く買ってもらえない、
というリスクがあることも付け加えておきます。
次回は、安売りの逆・・高く売った場合の影響をお伝えします。
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